No.25

[京都府]

経年とともに美しく成長した平屋の家

お引き渡しから10年の歳月が経った平屋建てのお住まいです。
むくりを利かせた大きな瓦屋根に心地よく色褪せた杉板の外壁、
新築時にSさまご自身で植えられたオオシマザクラのシンボルツリーも屋根の高さまで成長しました。

杉板で仕上げた高い天井に庭の景色を取り込む大きな窓、7寸角の大黒柱から伸びる大きな丸太梁が印象的で、
使い込まれた薪ストーブは「10年前はもっと存在感がありました」。
今はしっとりと空間の中に溶け込んでいます。

ダイニングスペースの隣には客間としても使える地窓を設えた小上がりの和室を設置しました。
10年前は真壁造りの住まいがいたや工房のスタンダード。時が経ち、クリの床やヒノキの柱も味わいのある飴色に変化しています。

Sさまからは「家のどこにいても庭の緑が望め、シンプルな間取りが暮らしやすいです。
薪ストーブの前で本を読んだり、菜園の手入れをしたり、この10年間ゆったりとした暮らしを楽しめています」と喜んでいただいています。

(左)10年前は珍しかったステンレストップのオリジナル木製キッチンを採用。
(中央)うぐいす色の土壁に合わせた障子の地窓が美しい玄関。
(右)土壁や式台に使用した天然木の一枚板もずいぶんと深みが増してきました。

(左上)玄関照明は10年以上前から作り続けています。
(右上)小屋裏がご主人の個室になっており、格子窓でLDKと繋がります。
(左下)窓辺のチェアが奥さまの定位置。
(右下)キッチンの収納には古建具を使いました。

今回は引き渡しから10年経った家をご覧いただこうという試みでした。
心地よく色褪せた杉板の外壁や綺麗な飴色に変化したクリの床など、
新築当時の面影を残しながら経年とともに美しく成長したお住いがそこにありました。